脱着が簡単で安定感抜群のマグネットデンチャー。そのメリットとデメリットは?
失った歯の機能を補う方法には入れ歯、ブリッジ、インプランントなどがありますが、マグネットデンチャー(マグネット義歯)は比較的安い費用で自然に見える義歯として人気を集めています。
マグネットデンチャーにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
マグネットデンチャーの仕組み
マグネットデンチャーは名前の通り、磁力で固定する方式の義歯です。現存する歯を削って根の部分に磁性金属を取りつけ、磁石は義歯側に埋め込むのが一般的です。
一般的にな入れ歯のような「バネ」がないのが特徴です。
メリット
磁石で固定する方式のマグネットデンチャーには、一般的な入れ歯よりも優れた点やメリットがあります。
その1 着脱が簡単
マグネットデンチャーは磁石と磁性金属が引き付けあう力を使って固定する方式です。一般的な部分入れ歯の場合、支えとなる歯にバネを取りつけなくてはなりませんが、マグネットデンチャーは装着したい場所に置くだけで固定することができます。
取り外すときも簡単に外せるため、手を動かしにくいという方でも簡単に着脱でき、メンテナンス時のストレスも軽減できます。
その2 安定性があり、しっかり噛める
マグネットデンチャーは磁石の力でしっかりと吸い付くため隙間ができにくいのが特徴です。安定性が高くがたついたり外れたりしにくいだけではなく、隙間に食べかすが入りこみにくいため、噛むことへの不安や不快感が少なくなります。
従来の入れ歯より強く噛めるので、しっかり噛んで食事を楽しむことができます。
その3 適応範囲が広い
マグネットデンチャーは部分入れ歯だけではなく、総入れ歯も作ることができます。磁性金属を埋め込むことができれば適応可能なので、適応範囲が広く、従来の入れ歯やブリッジを使用できなくてもマグネットデンチャーであれば使用可能なケースもあります。
その4 見た目が自然で美しい
従来の入れ歯のようなバネがないため、一目では義歯であることが分かりません。素材によっては自然の歯とほとんど同じ見た目にすることも可能であるため、話したり笑ったりすることに抵抗を感じにくくなります。
デメリット
従来の入れ歯より優れた点が多いマグネットデンチャーですが、いくつかデメリットも存在します。
その1 保険適用されない
従来の入れ歯は健康保険を利用して作ることができますが、マグネットデンチャーは自由診療となり保険適用されません。治療費は完全自己負担なので、従来の入れ歯より多くのコストがかかります。
その2 歯が一本以上残っている必要がある
マグネットデンチャーを利用するには歯根に磁性金属を取りつける必要があります。そのため、歯が全く残っていない状態ではマグネットデンチャーを利用できません。
ただし、インプラントと組み合わせることでマグネットデンチャーを利用できるケースもあります。
その3 MRIやCTへの影響
マグネットデンチャーの磁性金属がMRIやCTに影響し、映像が不鮮明になるなどの影響を及ぼす可能性があります。
また、マグネットがMRIなどに反応することで接着力が弱くなることがあります。MRIなどを受けるときは義歯を外しておくなどの対処が必要です。
まとめ
従来の入れ歯よりも丈夫で長持するといわれているマグネットデンチャーですが、使用しているうちに口の中の状態が変化したり、すり減ったりして噛み合わせが悪くなることがあります。
従来の入れ歯同様、定期的なメンテナンスと日ごろの手入れを行うことで、長く使い続けることができます。